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落合陽一さんの「ヌル庵:騒即是寂∽寂即是騒」に行ってきました


オープンしたばかりの麻布台ヒルズを散策していた時に偶然見かけた不思議な店舗。 洗練された入り口の向こう側にに小箱のようなスペースがあり、その周りをぐるっと囲むように電飾で描かれた絵が配置されています。

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「美術館?」

入り口の女性に声掛けると、中を自由に観覧して良いとのことだったので見てまわることに。

真ん中の小箱の中には女性が一人お茶碗を持って座っていて、更に奥にはお茶事道具のようなものが見えます。

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「お茶席?」

ということは、部屋の小さな入り口はにじり口でしょうか。 そのにじり口のあたりにあった QR コードを読み込むと、お茶事を体験できるとのこと。
「デジタルアートに囲まれた小さな部屋で抹茶を頂く?」

伝統的な茶道と対照的なデジタルアート。。。

脳内を高速回転させて想像力を最大値まで膨らませたけれどさっぱり見当もつかない。
和なのか和ではないのか。よくよく考えてみれば、茶道を和の文化に留めておくべき理由はないのか?

想像を超えたこの謎の空間、、、というか体験をどうしてもしてみたくて、早速大急ぎで予約を入れました。

------ そして迎えること当日。

「デジタルアートと伝統の融合」にすっぽりと没入するため、少し早目に到着をして、壁に掛けられた解説から丁寧に読んでいくことにしました。

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「人生は一瞬の夢のよう、、」という素敵な書き出しに惹かれて読み進めていく---

「乗燭夜遊」
「メメントモリ」
「微分オントロジー」

知らない言葉だらけの文章に心が折れそうになりながらも、ぼんやりと世界観が見えてきて。。。

「なるほど!」

これは、今日のイベント「ヌル庵:騒即是寂 ∽ 寂即是騒」の説明だ、という気づきに至りました 💦

初めて「ヌル庵」を見た時は、半角カタカナ混じりのタイトルに「文字化け?」と驚きましたが、込められた意味を読んでから改めて見ると「インパクトが高いだけではなく、深い意味を持っているのだなぁ。」と感慨深い思いがしました。

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そして、中の絵を見に行きます。 「色即是空」の「色」に当てられた「騒」を表現しているのでしょうか?絶えず形が変わる絵に「諸行無常」などと思いながら作者の世界観に思いを馳せてみます。

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「お茶会に参加の方は奥のカウンターでお待ちください ♪」 と声を掛けられて、コーナーに向かいます。。。

と、所狭しとここにも絵が飾られています。

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天井にも落合さんに纏わる色々なものが展示されています。

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ハイチェアに座ると白湯が出されました。
「口を清めてね」ということでしょうか?残さず飲み干します。

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白湯を飲んでいると、イベント進行の方が来て、2 紙を 2 枚渡してくれました。 「ヌル庵の心得」と地図らしき絵だけは判別できたものの、それ以外は達筆すぎて読めません 😭

しかし大丈夫です! 進行の方がちゃんと案内してくれます 😀 流れを一通り説明して頂いたら、みんなでお庭に向かいます。

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庭に向かう通路にも絵やオブジェが飾られていました。 ちなみに、お茶会に参加せず、館内の作品を見るだけなら無料です 🆓
作品を見にくるだけでも十分に楽しめます 🖼️

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こちらの絵は「鯖」です。 この鯖は後でまた登場するので、ぜひ覚えておいてください ✨

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そうして庭園に辿り着きました。
水のせせらぎを聞きながらしばらく静寂を楽しみます。。。そうか、ここが「寂」かもしれない。
ということは、ここが「ヌル」なのだろうか?

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竹でできた柄杓。風情があります 🎋
が、実際は隣に消毒液スプレーがあるので、手は現代的に清めます 🖐️

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自然を十分に体感した後、先ほどの宝石箱のような茶室に戻り、いよいよ中に入ります。

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にじり口からの様子。

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照明の色が賑やかに変わり、レンズの壁に反射して幻想的な雰囲気を出しています。

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お茶請けは、福岡博多の和菓子、鈴懸さんの「心葉」(原材料: 米粉、山芋、小豆、餅粉、水飴)
シンプルで上品な甘さは、まさに「静寂」という印象です。

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続いて薄茶を頂きます。
すっかり心の中は静まり返るのですが、、、

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目と耳は、室内に鳴り響く轟音とレンズで倍増されたライティングの効果で大賑わいです 😳

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茶室に入って気づいたのですが、展示されていた作品は、室内に入ってレンズ越しに見ることによって大きく様変わりするような仕掛けになっていました!
単体でも十分見応えがありますが、こうしてお茶会を通してみると、同じ絵でも違って見えることに気付かされます。。。

「茶室の外から、作品を単体で見る」ということは、「静」の状態で世の中を捉えることに似ているのに対し、
「茶室の中から、レンズを通して見る」ということは、私たちが目、すなわち肉体を通して世の中を体験することに似ているなぁ、とつくづく思います。。。

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そう考えると、感情を喜怒哀楽に動かされる体験はエンターテイメントなのだと思うのです。

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ここで、先ほど登場した「鯖」の絵です 🐟 下の 3 枚の画像はどれも同じ「鯖」を茶室内から見た様子です。
絵自体は同じですが、取り巻く周囲の様子は違って見えますね。「諸行無常」を感じさせられます。

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お茶席は一つのアトラクションではあるけれど、「諸行無常」というのはアトラクション内のみの出来事ではなく、
私たちの人生そのものなのだと思います。

似たり寄ったりの毎日の生活に小さな違いを見つけて、「非可逆的な時間の経過」を楽しんで生きたい、そんなことを考えさせられる体験でした。

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お茶室を出ると、奥の方に懐かしの「黒電話」が置かれていました ☎️

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受話器を取って質問すると、落合さんから返事が返ってきますよ ✨

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展覧会は 3 月 17 日までなので終了間近ですが、併設のレストランで食事をしつつ、落合陽一さんの世界観を楽しみに、是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

展覧会タイトル落合陽一「ヌル庵:騒即是寂 ∽ 寂即是騒」
URL公式サイト
開催期間2024 年 1 月 13 日 (土) 〜 2024 年 3 月 17 (日)
営業時間(ギャラリー)火-日:11:00-20:00
営業時間(レストラン)水-日:12:00-15:00(ランチ)/17:00-23:00(ディナー)
定休日(ギャラリー)月曜日 ※月が祝日の場合は翌日休業
定休日 (レストラン)月曜日/火曜日 ※月火が祝日の場合は翌日休業
会場Gallery & Restaurant 舞台裏
住所〒 105-0001 東京都港区虎ノ門 5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザ A B1F